実績・事例

【自社研究開発】JAXAでのAirTruck風洞試験

概要

1. 背景

エアロネクストは、物流専用ドローン「AirTruck」を開発し、日本の物流業界の課題である人手不足や、少子高齢化による買物弱者問題に取り組んでいます。この機体は、独自の技術「4D GRAVITY®」を搭載し、安定した飛行と効率的な物流を実現するために設計されました​​。また、エアロネクストは、開発パートナーとして4D GRAVITY®ライセンシーのACSLと連携し、物流に最適化されたドローン機体を共同開発しています。AirTruckは、JAXAや他の技術リソースを活用して、精密な空力特性の最適化を図りながら、物流業界に必要な性能や信頼性を追求しています​。

2. 目的

この風洞実験の目的は、AirTruckの空力特性を詳細に評価し、飛行の安定性や効率性を高めるためのデータを収集することです。JAXAの調布航空宇宙センターにある6.5m × 5.5mの低速風洞(LWT)を使用することで、さまざまな飛行条件における揚力や抗力の空力を計測し、AirTruckの最適な設計に反映させます。こうした実験は、次世代の物流ドローンに求められる高い飛行性能と安全性の向上に直結しています​。 

3. 概要

2021年12月14日から17日にかけて、エアロネクストは、JAXA調布航空宇宙センターにて開発パートナーであるACSLとともに、AirTruckの風洞実験を実施しました。実験は、6.5m × 5.5mの大型低速風洞(LWT)で行われ、機体の空力特性を詳細に計測することが目的となっています。

実験で得られたデータは、AirTruckの設計にフィードバックされ、飛行安定性と燃費効率の向上に大きく貢献しました。エアロネクストはこのデータを活用し、物流専用ドローンとしての最適化に向けた継続的な改善を進めました。

4. JAXAの低速風洞のスペック

JAXA調布航空宇宙センターの低速風洞(LWT)は、測定部が高さ6.5m、幅5.5mの八角形断面で、国内最大級の連続循環式風洞です。最大風速は70m/sに達し、さまざまな飛行条件下での精密な計測が可能です。

この風洞は、AirTruckのような物流用ドローンに求められる空力特性を詳しく評価するための優れた環境を提供しています。また、航空宇宙技術に限らず、自動車や建築分野でも活用される風洞として、多岐にわたる産業分野で重要な役割を担っています​。

5. 結論と今後の展望

今回の風洞実験によって得られた空力特性データは、AirTruckの次世代機体設計の精度向上に大きく寄与する見込みです。特に、4D GRAVITY®技術と組み合わせることで、荷物を安定的に運搬するための重心制御や機体の姿勢制御がさらに精密化され、ドローン物流の実用化に向けた信頼性と安全性が一層強化されると期待されています​。

今後、エアロネクストはACSLとの連携を強化し、物流用ドローン技術をさらに発展させる計画です。新型機体の開発が進むことで、地域におけるラストワンマイル配送や、特定条件下での迅速な物流に対応できる持続可能なドローンシステムの構築が進展すると期待されています。

JAXAでのAirTruckの風洞試験の様子