実績・事例

【共同開発】モンゴル企業との共同開発による物流ドローン製造技術および品質検証

概要

2025年4月から12月にかけて、モンゴル企業との共同開発による物流ドローン製造技術および品質検証を実施しました。既存機体をベースに現地で複数機体を組み立て、製造工程の再現性や組立精度を確認するとともに、試験飛行を通じて基本性能と品質の検証を行いました。

同時に、 単に組み立てができるかの確認だけではなく、不具合発生時の原因分析や改善対応まで含めて実施することで、現地企業として継続的に機体開発を進められるかを評価しました。その過程で、モンゴルの厳しい低温環境を活かした寒冷地での運用確認も、あわせて行いました。

寒冷地環境での飛行試験の様子
飛行試験の様子

背景

モンゴルは、低温(-40度)・高標高(1,300m)・強風(風速20m/s)といった過酷な自然環境や、性能試験にも適した広大な土地を有しており、ドローンの運用や評価を行ううえで特有の可能性を持っています。

また、ドローン機体価格の大半を占める研究開発人件費と性能試験コストの低減を見込める一方で、現地における機体製造や品質管理の体制はまだ十分に確立されていません。     

このため、「将来的に現地企業がドローンメーカーとして成立し得るか」を見極めるためには、実際の製造と運用を通じた技術検証が必要でした。

目的

本取り組みでは、モンゴル企業が有する物流ドローンの製造に必要な技術力や、品質管理能力、改善対応力を確認することを目的としました。あわせて、モンゴル特有の環境条件において機体がどのような課題を持つかを把握し、今後の量産や現地展開に向けた技術的な方向性を整理しました。

 取り組み内容

初期段階では、機体組立を通じて製造手順の理解と品質のばらつきを確認し、組立記録や作業手順の整理を進めました。続いて飛行試験では、基本的な飛行性能に加え、長時間運用による構造部品の耐久性や接合部の状態を確認し、不具合が発生した箇所については、日本から遠隔で技術的アドバイスをしながらも基本的には現地で改善を行い、品質向上を図りました。さらに寒冷地環境では、低温によるバッテリー性能低下に着目し、保温方法の比較や実飛行による検証を行うことで、低温下での運用に必要な対策も整理しました。

(開発プロセスと成果)
具体的には、機体3台の製造を以下の6つのステップで実施しました。

1)1号機の機体開発
 製造プロセスにおける新たなノウハウの効率的な獲得、機体開発に必要な技術的基盤の確認。
2)1号機の性能試験
 予め定めた9つ全ての基本性能パラメーターにおいて、目標仕様を概ね達成したことを確認。
3)1号機の品質試験
 ロジスティクス運用を想定したサイクルを実施。量産化に向けた技術的成熟度と品質管理能力が大きく向上した。
4)2号機の機体開発(量産化に向けた品質再現性と文書化)
 2号機の製造と並行して製造マニュアルを作成。一定の技量を持つ作業者がこのマニュアルに従うことで、同品質の機体を再現製造できるであろうことを確認。
5)3号機の機体開発(コスト効率の改善)
 2号機までの製造および評価で得られた知見を基に、部材構成を見直し。量産化に向けた有効な指針を得ることができた。
6)環境適応試験(寒冷地環境への適応検討)
 2通りの方法でバッテリーの温度保持を試み、試験飛行を実施。低温環境での動作安定性を高めるための有用なデータを取得できた。

現地企業と実験機を前に

今後の展望

今回の取り組みにより、現地企業が一定の製造能力と改善対応力を備えていることを確認できるとともに、量産化に向けて必要となる品質管理や設計改善の課題も明確になりました。開発メンバーからは、「開発製造に対する意識も向上した」という振り返りを頂いており、国や文化を超えた技術交流や共同で技術力向上を図れたことを嬉しく思っています。

今後は、モンゴルにおいて製造工程の標準化、構造耐久性の向上、部品選定の最適化を進めながら、継続的に品質を確保できる製造体制づくりと、厳しい環境下でも安定して運用できる物流ドローン技術の確立を目指していきます。