実績・事例

検体配送 上士幌町

日本初となる北海道上士幌町でドローンを活用した牛検体(乳汁)のリレー配送の実証実験を実施し、成功。

エアロネクストは、経済産業省北海道経済産業局、イノベーションチャレンジ実行委員会、セイノーホールディングス株式会社と共に、株式会社ノベルズの協力のもと、ドローンを利用した牛の乳房炎の検体(乳汁)配送の実証試験に成功しました(2021年10月)。このプロジェクトは、ドローン配送と陸上配送のリレー方式を採用し、温度管理、振動、ドローンと陸送の連携、リレー配送後の検査品質評価を含む一連の実証試験を行い、安全性と品質維持が確保されました。この取り組みは、地域産業のデジタル化を支援する経済産業省の事業の一環として実施されました。

実証実験の様子はこちらの動画をご参照下さい。

本実証実験の詳細

1.背景と目的

牛個体の検査業務を実施するバイオ企業各社においては、僻地である酪農地帯への検体の配送が、物流側の人手不足により年々困難となりつつある。現状では、運送会社を利用して運搬を行っているが、60kmの距離の運搬の場合は、約2日間の時間を要することもあり、品質が損なわれる可能性も懸念される。そのため、新たな配送手段の1つとして、ドローン活用の可能性を探るべく、実証実験を実施した。本実証実験で、ドローンを活用した配送において品質維持が実証できれば、ドローン活用の有効性を見出すことができ、将来、現状より短時間での運搬が可能になる。今回は、牛の乳房炎の検体(乳汁)配送に関して、温度変化・振動影響等の観点で評価を行い、ドローン配送によって安全性と品質が損なわれないかの確認を行った。

2.実施概要と結果

■試験管に入れた牛検体(乳汁)48本を、エアロネクストの4D GRAVITY®*1搭載の最新物流専用ドローンに搭載し、ノベルズ上士幌本社敷地内で20分間(約3km)の飛行を2回行った後、検体をセイノーHDのトラックに積み替え、ノベルズ研究所帯広センターまで配送し、翌日、研究所にて、検体の検査を実施した。

■実証の結果、ドローン配送時の振動は、配送後の検査品質に影響しないレベルであり、実用に耐えうることが確認できたこと、配送後の検査品質も実用に耐えうるレベルであることが確認でき、配送等の課題の多い畜産業界全般におけるスマート物流の実装可能性を検証することができた。

各分野においてデジタル・トランスフォーメーションが進行する中、畜産業界においても、少子高齢化による担い手不足という深刻な課題に直面しており、各テクノロジーの活用が求められています。そのような状況下、今回、ドローンを活用した牛の検体の一連配送の実証を日本で初めて実施し、成功したことは、乳汁に限らず、血液や受精卵等の配送の課題の多い畜産業界全般におけるドローン配送を含む新スマート物流の社会実装に向けた大きな第一歩となりました。今後実用化に向けて、寒冷地の気候における実証等も視野に入れながら、引き続き、連携して検討を重ねる予定です。

また、畜産業界のみならず、その他の産業界への応用、拡大の可能性も広がります。