実績・事例

【共同研究】三井化学製プロペラの検証

1.背景

ドローンの飛行性能を左右する重要な要素の一つがプロペラです。プロペラの形状や素材によって、推力、効率、騒音、耐久性などが大きく変わるため、各メーカーが改良を重ねています。今回、三井化学グループ(以下 三井化学)が新たに開発したドローン用プロペラの性能を検証させていただきました。
エアロネクストは、物流専用ドローンAirTruckを開発・運用しており、機体全体の空力特性や飛行効率を重視した設計を行っています。今回の検証を通じて、新しいプロペラが機体の飛行特性にどのような影響を与えるのかを評価し、その有用性を明らかにすることを目的としました。

2.目的

三井化学が開発した新型プロペラの性能を、実機を用いた飛行試験と各種計測を通じて、多角的に評価することが目的です。
この一連の試験により、プロペラの空力特性を定量的に把握することを目指しました。

3.概要

プロペラの性能を評価するにあたり、具体的には、以下の3つの観点で検証を行いました。

  1. 実機飛行試験 – 実際のドローン(AirTruck)にプロペラを装着し、飛行特性を検証。
  2. プロペラ単体の性能計測 – 推力、トルク、消費電力を測定し、空力特性を評価。
  3. 可視化実験(昇華法) – プロペラ表面の流れ場を計測し、空力特性を視覚的に分析。
    検証は、エアロネクストの施設とテスト環境を用いて実施されました。まず、AirTruckに新型プロペラを装着し、実機飛行テストを実施。これにより、飛行の安定性や推力の違いなど、機体への影響を確認しました。
    次に、プロペラ単体の空力性能評価として、風の影響を受けない状態でプロペラを回転させ、推力・トルク・消費電力を計測。プロペラの空力特性やエネルギー消費特性を数値的に分析しました。
    さらに、プロペラ表面の流れ場を調べるために、昇華法を用いた可視化実験を実施。
    プロペラ表面の流れ場を可視化し、乱流遷移位置を比較しました。

4.今後の展望

今回のテストで得られたデータは、プロペラの改良や最適化に活用される予定です。
特に、昇華法による流れ場の可視化データは、より高効率なプロペラ設計に役立つ情報となります。
エアロネクストは、今後もドローン技術の向上に貢献し、様々な企業や研究機関と連携しながら、新しい技術の検証・開発を続けていきます。三井化学との協力を通じて、物流ドローンの性能向上や運用効率の向上に寄与していきたいと思います。

T-motor社製プロペラの可視化結果