実績・事例

防災対応としてのドローン活用 秩父市

秩父市の被災地域に物資定期配送をする「&プロジェクト」、「Starlink」を活用した遠隔操作、着陸地無人での「レベル3」定期運航

エアロネクストは、「&(アンド)プロジェクト(土砂崩落の影響が続く秩父市中津川地内で、ドローンによる物資の定期配送を実施するプロジェクト)」に参加し、秩父市中津川地内でドローンによる物資の定期配送を実施しました(2023年1月~3月)。この取り組みは、エアロネクストが開発した物流専用ドローンAirTruckを活用し、従来モバイル通信が不安定だった環境下でも衛星ブロードバンドサービス「Starlink」を用いて安定した通信を実現。KDDIスマートドローンの運航管理システムと組み合わせ、遠隔制御による運航を行いました。この運航は、子会社NEXT DELIVERYが担当し、約5.6kmのルートを合計28フライトで総重量約100㎏の物資を配送しました。
このプロジェクトにより、物流専用ドローンが過疎地での住民サービス提供や防災目的での活用可能性を示しました。特に、目視外飛行への移行に成功し、荷物の受け取り者が補助者の役割を担うことで着陸地点の実質無人化を実現。これにより、ドローン配送の省人化の可能性を確認しました。
この取り組みは、災害時におけるドローンによる物資の定期配送としては全国で初めての事例となります。

住民が注文した食料品や日用品の入った箱をドローンに取り付けるスタッフ(崩落地点手前の離陸地点)

実施概要・実績

実施日2023年1月26日(木)~3月30日(木)まで ※1週間に1回(木曜日)のドローン配送。
実施エリア埼玉県秩父市中津川地内
ドローン飛行距離5.6km(往復)
取扱物資食品、飲料、調味料、生活雑貨、新聞、医薬品、秩父市広報紙、回覧物など
対象世帯6世帯(6名)
配送実績合計28フライト、配送物資総重量…約100㎏ ※1回のフライトにつき、最大4kgの物資を配送

レベル3(無人地帯・目視外飛行)での運用、遠隔地からの操作で配送を実施

3月2日(木)の配送より、「レベル2」から、「レベル3」での運航に移行。着陸地点には技術者やパイロットを配置せず、東京都内から遠隔操作で実施しました。荷物を受け取り者(中津川区長)が、自ら着陸地点半径30m以内に人が立ち入らないよう、規制線のロープを張り、第三者への注意喚起を行い、中津川区長、東京の遠隔運用者、離陸地点スタッフの3者間通話で着陸地点の状況を確認しながらドローンの離陸から着陸し荷物を荷下ろし、また離陸地点に飛行し戻るまでの一連の流れを実施しました。ドローン配送された荷物は中津川区長が受取り、その後発注した各世帯まで商品を自らお届けしました。

中津川地区の住民の皆さんからは「週1回の定期配送が楽しみの1つとなり、不安な気持ちが和らぎ、心のよりどころにもなっていた」といった声をいただき、冬季期間の住民の方々の、より日常に近い生活環境づくりに寄与することができました。
本取り組みで得られた運航、運用ノウハウと実績は、現在エアロネクストとNEXT DELIVERYが主に生活交通・物流など生活インフラの維持に課題を抱える過疎地域において住民サービスとして展開している新スマート物流SkyHub®における更なる活用のみならず、有事の際や防災目的での活用の可能性も追求、推進してまいります。