実績・事例

日高川町

日高川町が抱える課題と背景

人口約9,200人の日高川町は、和歌山県中央部に位置し、約90%が森林に覆われた緑豊かな地域で、清澄な日高川や四季折々の風物詩、質の高い農産物が魅力の町です。一方で、人口減少と高齢化が進行し、交通手段や若中年層の不足が深刻な課題となっています。

令和4年9月には、美山地区の新聞配達が郵送となるなど、物流課題や、高齢者の免許返納等による買い物支援など、山間部における物流や過疎の課題は、今後さらに深刻化することが予想されています。また、災害時の情報提供手段や緊急支援物資の迅速な提供体制の整備も必要です。

そこで、町内どこの地域に住んでいても同じサービスが受けられる、均衡のとれたまちづくりを目指し、物流課題の解消に向けて民間企業と行政が協働して取り組んでいます。

新スマート物流SkyHub®の導入

エアロネクスト、NEXT DELIVERYは、日高川町、セイノーホールディングス株式会社と共に、令和5年度デジタル田園都市国家構想推進交付金(デジタル実装Type1)「ドローンを活用した新スマート物流実装事業」を活用して、2023年7月に日高川町川原河に新スマート物流*1SkyHub®の拠点となるドローンデポ®を開設し、美山地区、中津地区において、サービスを開始しました。同日には、お披露目フライトとして、地域住民の日常的な買い物利用を想定して、日高川町名産の「あゆの一夜干し」や野菜、備長炭などをドローン配送いたしました。

2023年8月には、エアロネクストは、セイノーホールディングス株式会社、株式会社ウフルと共に、日高川町と新スマート物流による暮らしのDXに向けた連携協定を締結し、さらに新スマート物流SkyHub®の社会実装の活動を推進しています。

ドローンデポ®

既存物流とドローン物流との接続点に設置される、ドローン配送・陸上配送ができる仕組みを持つ倉庫。新スマート物流SkyHub®における拠点となる。
→日高川町川原河に構えています。

ドローンスタンド®

ドローン物流の起点および終点に設置されるドローンの離発着のための設備、場所。
→現在10ヶ所設置しています。(2024年3月時点)

実施中のサービス

日高川町では、次のようなサービスを提供しています。(2024年3月時点)

地域の商店と連携した買物代行サービス

SkyHub®アプリで買物した地域の商店やスーパーなどの商品が、希望日時に個宅に届く買物代行・配達代行サービスです。地域の商店のDX化支援の取り組みでもある、ネットスーパーのサービスとなります。

美山地区、中津地区では、近隣にある地元スーパーの約100アイテムの食料品、日用品から商品を選び、希望時間を選択して注文できます。市街地にあるスーパーやホームセンターとも提携しており、地元スーパーには無い商品をお届けすることもできます。料金は配送料300円(税込)または500円(税込)とサービス料(商品代金合計の10%)。当面は午前11時までの注文を当日中にお届けします。

フードデリバリーサービス(SkyHub®Eats)

美山地区、中津地区、川辺御坊地区において、12の提携飲食店のフードをドローン便あるいはおクルマ便にてお届けします。料金は配送料300円(税込)または500円(税込)です。

新聞配送

日高川町では高齢化が進み、免許返納に向けた買物支援や人手不足によりその他住民生活の担保が大きな地域課題となっています。それに加えて物流業界の2024 年問題により、過疎地域では配達時間が限られるなど大きな影響があります。

美山地区では、過疎化の影響で新聞配達員が不足し、2022年9月から新聞が郵送配達(有料)となっており、朝刊が昼ごろに届く状態で、土日分は月曜にまとめて郵送になっていました。この課題を解決するため、2024年2月より美山地区で新聞配達のサービスを始めました。具体的には、3つの新聞販売店と連携して、市街地からの新聞運搬の代行と住民が指定ボックスで午前中に受け取りが出来るような運用を実施しています。

ドローン配送

陸送で非効率なエリアや場所への配送をドローンに置き換えることで配送効率向上を目指して実施中。
⚫︎2024年3月末までに10ドローン飛行ルート開通済。

日高川町は、和歌山県のほぼ中央部に位置し、平成17年5月1日の市町村合併により、県下で3番目の面積を誇る、東西に長い町となりました。また、総面積の約90%が森林となっており、人口は9,219人(令和2年国勢調査)で、海に近い西側に比較的人口が多く、東側の美山地区は高齢化率も52.5%と高く(令和2年国勢調査)、人口も少なくなってきています。

 また、令和4年9月に美山地区の新聞配達が郵送となるなど、物流課題や、高齢者の免許返納等による買い物支援など、山間部における物流や過疎の課題は、今後さらに深刻化することが予想され、町内どこの地域に住んでいても同じサービスが受けられる、均衡のとれたまちづくりのため、物流課題の解消に向けた取組が必要となっています。

 そうした中、令和5年度に、国のデジタル田園都市国家構想推進交付金を活用し、「ドローンを活用した新スマート物流実装事業」による、安定的な物流の確保と山間部地域の生活環境を整える事業を開始しました。令和5年7月6日にスカイハブ日高川の開所式を行い、現在は、買い物代行サービス(5店舗提携)、フードデリバリー(12店舗提携)を展開し、地域住民の皆様からは、「便利になった」「今後も継続して欲しい」との声を頂いております。

 これからも、共同配送の取り組みを物流各社と協議を進め、さらには見守りサービスも住民とのコミュニケーションと配送を併せた形で展開し、過疎地域の利便性の確保と地域住民が安心して暮らせる環境づくりを目指します。

和歌山県日高川町 企画政策課 課長補佐 井原優作 様