実績・事例
小松市
小松市が抱える課題と背景
小松市の人口約106,400人で、全体の高齢化率は28.7%ですが、中山間地域では40%を超える地区が存在します。中山間地域の高齢化が進むことで、日常の買い物や薬の受け取りなどでの生活利便性の低下が懸念されています。
そこで、物流サービスの維持・最適化を目指し、ラストワンマイルの輸送手段にドローン配送を組み込み、地上輸送とドローン配送を連結、融合する新スマート物流システムの導入により、買い物代行や災害時支援、医薬品配送等を行う仕組みづくりに民間企業と行政が協働して取り組んでいます。
新スマート物流SkyHub®の導入
2022年12月にエアロネクストは、セイノーホールディングス株式会社、KDDIスマートドローン株式会社と共に、小松市とドローンを含む次世代高度技術活用による地域課題の解決と地域発展に資する新スマート物流の構築に向けた連携協定を締結し、その後デジタル田園都市国家構想交付金Type1を活用して、新スマート物流SkyHub®の社会実装を推進しています。
同月には、松東地区において次世代高度技術の活用により新しい物流サービスの構築を目指した「中山間地域におけるドローン配送」の実証実験を実施しました。小松市の抱える地域課題の解決を目指して買物支援、物資支援などを想定して、松東地区のせせらぎの郷から松東みどり学園まで、日用品をドローン配送しました。地域の方々や子ども達にドローンの離着陸を見ていただくことで、ドローンに関する関心と理解につなげることができました。
実証実験を経て、2023年8月にドローンデポ®小松を開所し、新スマート物流SkyHub®のサービスを開始しました。
ドローンデポ®
既存物流とドローン物流との接続点に設置される、ドローン配送・陸上配送ができる仕組みを持つ倉庫。新スマート物流SkyHub®における拠点となる。
→松東地区の「ほのぼの松東」内に構えています。
ドローンスタンド®
ドローン物流の起点および終点に設置されるドローンの離発着のための設備、場所。
→現在10ヶ所設置しています。(2024年3月時点)
実施中のサービス
小松市では、次のようなサービスを提供しています。(2024年3月時点)
地域の商店と連携した買物代行サービス(SkyHub® Delivery)
SkyHub®専用サイトやチラシで買物した地域の商店やドラッグストアなどの商品が、希望日時に個宅に届く買物代行・配達代行サービスです。地域の商店のDX化支援の取り組みでもある、ネットスーパーのサービスとなります。
松東地区では、近隣にあるドラッグストアの約120アイテム(今後も拡大)の食料品、日用品から商品を選び、希望時間を選択して注文できます。料金は配送料300円(税込)とサービス料(商品代金合計の10%)。午前12時までの注文商品を当日中にお届けします。
フードデリバリーサービス(SkyHub®Eats)
小松市内の12の提携飲食店のフードを軽バンあるいはドローンにてお届けする「SkyHub®イーツ小松」を実施しています。配送時間は11時半~18時で、LINEまたはお電話で、30分前までの注文ができ、市内対象エリアにあるご自宅・会社まで時間指定でお届けします。
ドローン配送
陸送で非効率なエリアや場所への配送をドローンに置き換えることで配送効率向上を目指して実施中。
・2024年3月末までに10ドローン飛行ルート開通済。
・2023年9月には、大手牛丼チェーンの吉野家と連携し、𠮷野家小松店から木場潟カヌー競技場艇庫までの片道2.5kmの距離を約6分で吉野家の牛丼弁当(1配送につき牛丼弁当4個)をドローン配送する実証実験を実施。𠮷野家小松店で調理された牛丼弁当4個が箱に収納され、吉野家小松店スタッフによってドローンにセットされ、10時30分から約30分間隔で離陸し、1ルートを計9回飛行し、小松市民、カヌー選手の元まで届けられました。
小松市は、特に中山間地域で少子高齢化や過疎化が進んでおり、バス路線の廃止や高齢者の免許返納など、住民の生活において買い物や通院などが困難になるなど課題が深刻化している中、物流の面から課題解決につながる新スマート物流の取組みを令和4年10月よりデジタル田園都市国家構想交付金Type1を活用してエアロネクストと連携して推進しています。
実証実験を経て、令和5年8月には松東地区内に拠点を構え地域の物流インフラ構築、物流サービスの提供を開始していますが、住民の皆様にも徐々に認知が広がり、ご活用頂いているお声も聞こえてきています。この新しい取り組みが、今後コミュニティになくてはならないインフラとなり、持続可能なまちづくりにつながることを大いに期待しています。
小松市総合政策部スマートシティ推進課 課長 河合 裕一 様