実績・事例

川根本町

川根本町が抱える課題と背景

川根本町は総人口6,014人(2023年7月現在)、静岡県の中央部に位置し、町域は大井川に沿った東西約23km、南北約40kmの南北に細長い形で、面積は496.72km²(県全体の6.4%)、このうちの約90%を森林が占めている。自然が占める割合が多く、町の中心地から離れた集落が散見され、高齢化に伴う買い物難民の課題を抱えています。また、有事の際に孤立してしまう可能性のある集落も多く、災害などで道路が遮断され交通手段がない場合の物資輸送の課題もあります。

そこで、買い物難民問題や有事の際などの孤立問題の解決をすべく、物流の最適化を目指し、ラストワンマイルの輸送手段にドローン配送を組み込み、地上輸送とドローン配送を連結、融合する新スマート物流システムの導入により、買い物代行や災害時支援、医薬品配送等を行う仕組み作りを目指し民間企業と行政が協働して取り組んでいます。

新スマート物流SkyHub®の導入

エアロネクスト、NEXT DELIVERYは、川根本町、セイノーホールディングス株式会社と共に、令和6年度デジタル田園都市国家構想推進交付金(デジタル実装Type1)「ドローンを活用した新スマート物流実装事業」を活用して、2024年5月に旧中川根南部小学校に新スマート物流SkyHub®の拠点となるドローンデポ®を開設し、6月1日からサービスを開始しました。
SkyHub® Deliveryサービスからスタートし、住民ニーズに応じて対象エリアも拡大しています。今年度中には飲食店と連携したフードデリバリーSkyHub® Eatsと各運送会社と連携した共同配送の開始も目指しています。

2023年9月と12月の2回に渡り災害時の孤立集落へのドローン配送を想定した実証実験を実施しており、12月には、川根本町とエアロネクスト、セイノーHDは、町が目指す過疎化等の地域課題の解決に向けて、ドローン配送実証事業を含む次世代高度技術の活用による新しい物流のビジネスモデルの構築を目的とした連携協定を締結し、新スマート物流SkyHub®の社会実装に向けて動き出していました。

開所式で、薗田靖邦川根本町長は、「物流2024年問題や働き方改革の問題も見据え、災害時の対応やデリバリーサービスでドローンを活用し、川根本町では当たり前になるように、ドローンを社会インフラにしていきたい。」とコメントしています。

また同日には、地域住民の日常的な買い物利用を想定して、旧中川根南部小学校から田野口地域振興センターまでの片道約3.8㎞を約8分で、地域の商店「魚勇」のお刺身やヨーグルト等の食料品を物流専用ドローンAirTruckを使用して配送しました。

ドローンデポ®

既存物流とドローン物流との接続点に設置される、ドローン配送・陸上配送ができる仕組みを持つ倉庫。新スマート物流SkyHub®における拠点となる。
→旧中川根南部小学校に構えています。

ドローンスタンド®

ドローン物流の起点および終点に設置されるドローンの離発着のための設備、場所。
→現在5ヶ所設置しています。(2024年8月時点)

実施中のサービス

小松市では、次のようなサービスを提供しています。(2024年3月時点)

地域の商店と連携した買物代行サービス(SkyHub® Delivery)

電話で買物した地域の商店やドラッグストアなどの商品が、希望日時に個宅に届く買物代行・配達代行サービスです。

近隣にある地元スーパーの約60アイテムの食料品、日用品から商品を選び、希望時間を選択して注文できます。料金は配送料300円(税込)とサービス料(商品代金合計の10%)。当面は午前12時までの注文を当日中にお届けします。

フードデリバリーサービス(SkyHub®Eats)

川根本町の提携飲食店のフードをドローン便あるいはおクルマ便にてお届けします。料金は配送料200円(税込)です。

ドローン配送

陸送で非効率なエリアや場所への配送をドローンに置き換えることで配送効率向上を目指して準備中。

川根本町は、2022年9月の台風第15 号により土砂崩れや道路決壊、大規模な断水など大きな被害を受けました。道路の寸断により、小竹地区と壱町河内地区・文沢地区が孤立し、災害時における孤立集落への物資輸送の難しさを身にしみて感じました。このため、町は、災害対応強化を重点項目に掲げ、孤立集落へのドローン配送を想定した実証実験を2023年度に実施し、災害時におけるドローン配送の有効性を確認しました。
 そして、町と株式会社エアロネクスト、セイノーホールディングス株式会社は、地域課題解決を目的とした連携協定を締結し、「新スマート物流SkyHub®」の構築に動き出しました。
令和6年度デジタル田園都市国家構想推進交付金(デジタル実装Type1)「ドローンを活用した新スマート物流実装事業」を活用し、安定した物資支援や有事の際の対応を目的として、事業を開始しました
 まずは、旧中川根南部小学校を拠点に、買い物代行サービスとフードデリバリーサービスを2024年6月から実施し、9月中には共同配送を開始します。(9月を目途にドローンでの配送を開始する予定です。)
 今後も、町民の皆様の安心安全、生活の利便性の維持・向上のため、新スマート物流事業を推進してまいります。

静岡県川根本町  デジタル推進課 デジタル推進室 室長 柴  亨