実績・事例

上士幌町

上士幌町が抱える課題

北海道十勝管内の北部に位置し、人口約4,900人に対して行政面積は約700平方キロメートルを抱え、畑作、酪農などが盛んな、総面積の約76%を森林が占める緑豊かな町です。一方で、市街地の周辺には農村地域が広がり、農村地域に住む住民、特に高齢者の買い物や通院の交通弱者の問題も深刻化。また、過疎地における高齢化やドライバー減少などを背景にぬかびら源泉郷など離れた地域への物流問題も存在します。

新スマート物流SkyHub®の導入

エアロネクストは、2021年8月に上士幌町と連携協定を締結し、その後デジタル田園都市国家構想交付金Type1を活用して、新スマート物流SkyHub®の社会実装を推進しています。2021年10月に、ドローンを含む次世代高度技術活用による「持続可能な未来のまちづくり」に向けて、ナイタイ高原牧場におけるドローンを活用した観光商品開発デモ飛行、日本初の次世代高度技術活用におけるドローン宅配(個宅への買物代行ドローン配送は日本初)実証、そして、温度管理・振動など繊細な管理と配送品質が求められる、日本初の牛の検体配送の実証を陸送とドローン配送のハイブリッドで実施しました。

個宅配送実証実験

上士幌町ではこれら複数の実証実験を経て、デジタル田園都市国家構想交付金Type1活用し、新スマート物流の実用化、社会実装を着々と進め、新スマート物流SkyHub®の導入の第一歩としてドローンデポ®を市街地に設置し、地上配送とドローン配送で様々なサービスを実施しています。

①「荷物を集める(各事業所が自社で運んでいた荷物を集約するなど、町内を行きかう荷物を集める)」、
②「荷物を創り出す(町になかった新しいサービスを創出新しい配送需要をつくる)」
③「荷物情報を集約、ドローンと陸送の最適化を分析、実施」し、荷物情報を見える化してトラック、ドローンという配送手段に割り当て、様々な情報から最適な配送ルートを選択する輸配送管理システム、SkyHub®TMSを活用し、配送を実施。

農家(生乳、受精卵)
小売店(仕入れ・納品・買い物置き配・提携店舗)
薬品(処方薬配送・残薬回収)
帯広⇔上士幌間の輸送請負  
人手不足に悩む地域のスーパーで発生する配送業務全般、例えば配達・買い物代行、学校給食、保育園、介護施設の食材納品や工場からの商品搬入(肉、パン)など、仕入れ・出荷作業支援等を、住民のライフラインを支えるスーパーの足として実施。
配食サービス

 2023年2月より、 地域の飲食店(2024年4月時点で7店舗)のフードを注文を受け配送する「かみしほろイーツ」を展開

  

実証実験を経て、2023年9月から、夕刊が翌日届く農村エリアの世帯(10世帯 2024年4月時点)に当日に届くよう個宅まで車あるいはドローンで配送。新聞のドローンによる個宅配送は日本初といえる。

物流会社と連携して実施中。

陸送で非効率なエリアや場所への配送をドローンに置き換えることで配送効率向上を目指して実施中。

全国初のドローンレベル3.5飛行実施

参考リンク→
レベル3.5初承認、初飛行
新制度「レベル3.5」とは? ドローン配送事業と新スマート物流のゆくえ

⚫︎2023年12月のレベル3.5解禁に伴い、上士幌町にてレベル3.5の全国初の飛行を実現
⚫︎2023年度の新規40のドローンルートの拡大を加えて合計50ルートがすでに開通済。

⚫︎新聞配達(車とのリレー配送)、フードデリバリーの集荷においてレベル3.5でのドローン定常運航を実装中。

上士幌町では、交通弱者や買い物難民をゼロにするため、デマンドバスや自動運転バスの運行、移動データの可視化による貨客混載といった取組をこれまで進めてきました。2022年から取り組んでいる「新スマート物流SkyHub」の社会実装は、ドローンによる配送という次世代技術を用いたチャレンジでありながら、人材や車両といった中山間地域の限られたリソースを、データ連携を行いながらフル活用し「物流を最適化」する、上士幌町のこれまでの取り組みの延長線上にあるものでした。

取組が始まってからは、酪農家の収益増に繋がる検体配送、これまで翌日配送であった新聞の当日配送、町にはなかった昼食デリバリーの開始など、ドローンに置き換えた際に価値を生み出せるもの、より喜んでもらえるサービスは何かと、町民の声に耳を傾け、官民一体となってサービス向上に励んでいます。

上士幌町役場 デジタル推進課 課長  梶 達 様